平井卓也デジタル改革担当相が、NECが請け負った東京五輪向けアプリ事業費の削減について暴言を吐いていたことがわかって問題になっています。
さらに、NECを排除して「松尾先生のACES(エーシーズ)」を名指しでデジタル庁の事業に参入させるよう指示していたことがわかりました。
平井卓也大臣が親密企業を優遇しようとするこの発言は、官製談合防止法に違反する疑いがあります。
さっそく新たな音声データの書き起こしを見てみましょう。
平井卓也デジタル大臣発言の音声データ
平井卓也デジタル大臣の発言は、音声データとして残されているもので、言い逃れの出来ない証拠となります。
9月に発足予定のデジタル庁、その担当大臣が平井卓也氏です。
4月7日に行われた、デジタル庁設置に関するオンライン会議での発言がこちらです。
その会議を録音した音声データの書き起こしはこちらです。
平井「デジタル庁の入退室管理と、アクセスのね。それはさ、もう新しいシステムを実験的に入れてくれてもいい。松尾先生に言って一緒にやっちゃってもいいよ」
幹部「あっ」
平井「彼が抱えているベンチャー。ベンチャーでもないな、ACES(エーシーズ)。そこの顔認証、はっきり言ってNECより全然いい部分がある。だから聞いて。もうどこから撮ったっていけるし、速い。アルゴリズムがとっても優秀」
幹部「分かりました」
平井「デジタル庁はNECには死んでも発注しない」
幹部「ははは」
平井「まぁ、あの、場合によっては出入り禁止にしないとな。オリンピックであまりぐちぐち言ったら完全に干すから」
引用:文春オンライン
松尾先生とは誰でしょう?
ACES(エーシーズ)という会社を抱えている?
松尾先生とは人工知能の研究をする松尾豊氏
平井大臣に名指しされた松尾先生というのは、東京大学で人工知能の研究をしている松尾豊氏のことだとわかりました。
松尾豊氏は平井大臣と同郷で、親密な間柄だそうですが、ビジネスマンというより研究者です。
株式会社ACESは、「ヒトの顔認識、感情や行動の分析、モノの検知などを実現する組み込み型の画像認識アルゴリズムパッケージ」を提供する、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ企業です。
ACES(エーシーズ)は、「ヒトの知見を数式化する」会社です。
「機械の眼」とも呼ばれる画像映像認識AIアルゴリズムを用いて、ヒトの眼を通して認識されていたリアルな情報を自動でデジタル化し、リアル産業のビジネスプロセスやバリューチェーンをDXします。
ヒトの働き方をデジタルの力で自動化・効率化することで、誰もが生き生きと生きられる社会を実現していきます。引用:ACES
きっと平井大臣が言うように、優秀なアルゴリズムを備えた顔認証システムを構築しているんでしょう。
そして、当事者である松尾豊氏は早速こんなふうにツイートしています。
先週末、取材があり対応しました。記事にあるような「談合」は事実無根で、明確に繰り返し否定しましたが、そのまま記事になり残念です。(ちなみに最初いきなり自宅に来られました。)政府発注の課題は多いですが、政治的な話ではなく、日本のデジタル・AIがきちんと前に進むことを願っています。 https://t.co/vSETuBIA2J
— 松尾 豊 (@ymatsuo) June 16, 2021
それから、スタートアップはすごく真面目に一所懸命頑張っているので、文春さん邪魔しないで! https://t.co/0XZxSdmbqV
— 松尾 豊 (@ymatsuo) June 16, 2021
松尾豊氏は「文春さん邪魔しないで!」と書いていらっしゃいますが、どっちかというと平井大臣邪魔しないで!の方かもしれませんね。
研究者である松尾豊氏にとってはとんだとばっちりで、文春の記者から自宅まで襲撃された格好ですから、もっと怒ってもいいくらいですよね?
平井大臣の発言は官製談合防止法違反?
平井卓也デジタル大臣の発言は、音声データがあるので否定できません。
「NECには死んでも発注しない」と排除して、松尾先生のACES、と指名しているのは便宜供与であり大問題でしょう。
ただ、その便宜供与は松尾豊氏が知らないうちに勝手に行われていた可能性があります。
松尾豊氏は「談合は事実無根」とツイートしていますし、巻き込まれて迷惑しているようです。
平井大臣が松尾豊氏とACESを指名したことが、平井大臣の一方的な行為で、平井大臣と松尾豊氏の間に談合も密談も、接待も金品の授受もなかったとしたら、どうなるんでしょう。
NECは請け負った五輪アプリの予算を削られ、死んでも発注しないとまでののしられ、松尾豊氏は勝手に指名されて迷惑しています。
平井卓也デジタル大臣は、どう対応するのでしょうか。
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