神社本庁が不正土地取引裁判で全面敗訴しました。
神社本庁とは何で、日本会議、神道政治連盟、安倍晋三元首相との関係はどんなものなのでしょうか。
極右団体とも呼ばれる神社本庁の敗訴の内容とともに調べてみましょう。
神社本庁とは何だ?
神社本庁とは何でしょう?
神社の元締め?
そうですね、神社本庁は全国にある7万9千ほどの神社を包括する宗教法人で、「祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えること」を目的として組織されています。
というのは表向きで、神社本庁とは「祭政一致」を主張する組織です。
祭政一致とは、大日本帝国憲法で明文化されていた「神道の祭り主である天皇が親政も行ない、国政上、政府はそれを輔弼する(進言する)役割にとどめる」という政治のやり方のことです。
神社本庁は、それを復活すべきだと主張していて、そのための憲法改正を目指しています。
神社本庁が全面敗訴
神社本庁が全面敗訴の判決を受けたのは、内部告発を理由に懲戒解雇された宗教法人「神社本庁」の元総合研究部長・稲貴夫氏らが処分の無効を訴えた訴訟です。
懲戒解雇という労務トラブルよりも注目すべきは、その内部告発の内容です。
内部告発の内容は、神社本庁の職員寮など複数の不動産を不当に安く売却して転売させ、「誰か」に大儲けさせる背任行為があったとする告発でした。
「神社本庁が15年10月に1億8400万円で売却した職員寮が即日転売され、後に3億円以上に値上がりした疑惑が発端でした。元部長らは同様の案件が複数あり、売却先が同じ不動産業者で随意契約だったことを問題視。『不当に安く売却したのは背任行為に当たる』などとした内部告発の文書を配布したのです。これに対して神社本庁は17年8月、元部長を懲戒解雇し、裁判になっていました」(神社本庁関係者)
引用:文春オンライン
神社本庁が不動産を大安売り
神社本庁は2015年に職員寮など所有していた複数の不動産を異常に安く売却して、不動産会社に転売させて大儲けさせています。
この不動産取引に不正を感じた元総合研究部長・稲貴夫氏が「田中総長や内田会長らによる背任行為」だと告発する文書を作って、神社界に配布しました。
この内部告発に対して、神社本庁が稲氏を懲戒解雇の処分にしたので、稲氏から処分の無効を訴える訴訟が起こされました。
神社本庁が不動産を大安売りして大儲けさせた不動産会社というのは何ものでしょうか。
「ディンプルインターナショナル」疑惑の不動産業者
神社本庁から複数の不動産を異常に安く買い取って大儲けしていた不動産業者は「ディンプルインターナショナル」という会社です。
神社本庁が1億8400万円でディンプルインターナショナルに売却した「百合丘職舎」は、翌月には2億1240万円で別の不動産会社に売却され、半年後にはさらに別の不動産会社に3億500万円で転売しています。
1億8400万円が、3億500万円。
ゲーム機やチケットの転売ヤーがミジンコほどに見える、巨額の利益を生む転売ですね。
ディンプルインターナショナル、キングオブ転売ヤー。
ことの発端は、2015年10月の神社本庁の虎の子の財産だった職員寮「百合丘職舎」(川崎市)の売却にさかのぼる。
神社本庁は百合丘職舎を都内の不動産会社、ディンプルインターナショナル(当時。以下ディンプル)に1億8400万円で売却することで合意。ところが、その翌月の同年11月、ディンプルから別の不動産会社に百合丘職舎が転売される。その額は2億1240万円だ。つまり、ディンプルは百合丘職舎を右から左に流すだけで3000万円近い粗利を得たことになる。
話はこれで終わらない。百合丘職舎はそのわずか半年後、さらに別の不動産会社に3億500万円で転売される。短期間でディンプルへの売却額から1億2000万円超も跳ね上がったわけだ。
短期間で巨額の利益が高橋恒雄氏に
さて、この土地ころがしでディンプルインターナショナルは、短期間で3000万円ほどの利益を上げています。
このディンプルインターナショナルという不動産会社の社長は高橋恒雄氏で、同氏は季刊誌「皇室」などを発刊している出版社「日本メディア・ミックス」という会社の社長でもあります。
そしてこの高橋恒雄氏は、山口組系暴力団幹部や木更津の稲川会中村一家との交際がたびたび話題になる、特殊な人脈の持ち主として知られます。
そこからさらにレスリング協会にまで金脈と人脈がつながるようですが、追及し始めるときりがないので話を戻しましょう。
土地ころがしで生まれた利益はどこへ?
となると、ディンプルインターナショナル社が神社本庁の不動産を転がして得た利益は、ディンプルインターナショナル社の高橋恒雄社長を通じて特殊な人脈方面へと流れていったのかもしれません。
あるいは、異常に安く売却することを決めた田中恆清総長や打田文博会長など神社本庁の上層部に還流したのでしょうか。
いずれにせよ、神社本庁の財産であった不動産が叩き売られてしまい、転売によって生まれた利益は神社本庁の懐には入りませんでした。
神社本庁の財産である不動産は、もとはといえば全国の神社と、その氏子から集められた浄財により支えられているわけですが、氏子のみなさん、これでいいんですか?
神社本庁と日本会議と神道政治連盟
神社本庁と日本会議と神道政治連盟の関係性をおさらいしておきましょう。
神社本庁の「統理」や「神宮代宮司」らは、顧問として日本会議の役員に名を連ねています。
となると、神社本庁が実質的に日本会議を動かしている、と見えます。
NEWSポストセブンが、「安倍政権の黒幕と指摘される日本会議と神社本庁、その違い」という2016年10月22日の記事の中で秀逸な図表を作って見せてくれていますので、お借りします。
神社本庁は、全国の神社約7万9千を束ねる民間の宗教団体で、大日本帝国憲法肯定の立場から改憲を主張する。
一方の日本会議は、反共産主義から出発した反共保守系政治団体が結成した団体で、日本国憲法を時代に合った形に変えることを主張する。
どうやら日本会議は神社本庁の下部組織的な感じ?メンバーは重複し、改憲の主張など神社本庁の方がより過激な主張をしている事がわかります。
そして、神道政治連盟というのは神社本庁が作った右翼的政治団体で、皇室と日本文化の尊重、新憲法制定、靖国神社の国家儀礼確立、道徳・宗教教育の推進、夫婦別姓反対、祝日の国旗掲揚などを議員に働きかけていくことを主な活動としています。
神道政治連盟に名を連ねる国会議員
神社本庁が作った政治団体、神道政治連盟にはたくさんの国会議員が名を連ねています。
こちらの「国会議員いちらんリスト」から、各議員の加盟団体をチェックすることが出来ます。ぜひ地元の議員をチェックしてみてください。
神道政治連盟と、日本会議の両方に加盟している衆議院議員が166人、参議院議員が50人(数え間違いあるかも、ご容赦ください)で、全員が自民党議員です。
日本会議のみに加盟、または神道政治連盟のみに加盟している議員は自民党以外にもいます。
国会議員全に占める割合は半分弱ぐらいですが、自民党員に限ればかなり高い割合になります。
日本会議や神道政治連盟が政治に大きな影響力を持つ団体であることがわかります。
それはつまり、神社本庁が政治に大きな影響力を持っている、ということですね。
神道政治連盟と日本会議と安倍晋三
ノイホイこと菅野完氏の「日本会議の研究」は、発売前から椛島有三日本会議事務総長の名義で、出版社である扶桑社に抗議と出版差し止めが要求された問題作でした。
「日本会議の研究」にあばかれていたことは、日本会議という団体がどれほどの時間と手間をかけて弛まぬ努力を続けて政治に食い込み、やがて自らが影響力を持つ国会議員が安倍内閣のほとんどを占めるまでになったか、という日本会議の執念の歴史でした。
本の出版と前後して、神社本庁と神道政治連盟と日本会議と安倍晋三氏の関係が抜き差しならぬものであることがあれこれ報道され指摘され周知されましたが、5年以上の時間が経ち忘れかけていました。
神社本庁の全面敗訴の報道で、また神社本庁のヤバさ加減がクローズアップされることになり、忘れかけていた神道政治連盟、日本会議のことを思い出すきっかけとなったことは大変幸運でした。
いつ選挙になるのかわかりませんが、「国会議員いちらんリスト」で地元選出議員をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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